(コラム74)
「線+色+光の魅力」C 2022年2月1日 五十嵐吉彦<遠近法を駆使しスピーディに描こう> 水彩・ペン彩スケッチ画を現場で、主として建築物など形のある風景スケッチをスピーディに描くには、形を描く透視図法や、色の濃淡で描く空気遠近法などをマスターしていればスピーディに描ける。そして同じ場所でも構図も変えて何枚も描けば、それぞれに臨場感あり、趣のある作品が可能となる。 今、NHK大河ドラマの舞台となっている鎌倉で北条政子にゆかりがある「寿福寺」を構図を変えて現場で描いた作品3点(トップページに2点)を紹介しよう。その内の1点は下に掲載の縦位置作品で寿福寺の参道を描いた。この寿福寺の参道は鎌倉随一の美しい参道と言われている。高い樹々に囲まれ、左からの光とカゲがあり、そこに参道の敷石が延びている。そして少し苔むした参道が、奥に行く程わずかながらも上がっている。 小生の教室は現場でも仕上げまで2時間を基本としている。2時間で構図+ペンスケッチ+彩色を行い仕上げる。そのスピードが現場での臨場感ある作品の誕生となる。この集中して描いている時間が一番充実しているが、スピーディに描きながらも、質のいい作品を目指す訓練と努力をいつも積んでいる。水彩・ペン彩スケッチ画は簡単そうだが奥が深い。 初秋の鎌倉「寿福寺」参道/F4
正式には「亀谷山寿福金剛禅寺」といい鎌倉五山第三位の寺院。1200年創建。 現場で描く場合、その場所の歴史を知った上で描いていると一段と楽しい。 この寿福寺は北条政子が頼朝を弔って建てたと言われている。この為、描いている参道は源氏一族、北条一族がよく歩いたであろうと想いを馳せる。 *この作品の遠近法としては手前の参道は距離感を出す為の1点透視、彩色は手前を薄く奥に濃度を上げて逆遠近法で寿福寺にも焦点をあてている。 |