(コラム69)

「色・光+線の魅力」@ 五十嵐吉彦 <2021.9.1>

コロナ禍が始まった昨年3月から月1回程度このコラム欄を書き続け、この間まで<色>と<光とカゲ>について雑談も含め述べてきた。ただ「水彩スケッチ画」の中の「ペン彩スケッチ画」は、色+光+線からなるので、「ペンの線の魅力」についてこれから順次述べてみたく思う。

線を描く画材は鉛筆を筆頭に種々ある。その線を描く画材の中でペンの線の歴史を見るとペンの歴史は古い。最初の頃は葦ペンであったらしいが、レオナルド・ダ・ヴィンチ等は鳥の羽を使った羽ペンでペン画を描いていたと言われる。前回コラムで少し触れたレンブラントは油絵での人物画だけでなく、風景画を羽ペンで描いており、そのペン画やエッチングもなかなか良い。
その後、竹ペンやインクを付けて描くペン、万年筆型ペン、ミリペンと進化してきた。

このミリペンは約20年前から出てきたが、屋外で描く風景スケッチには中目スケッチブックにも書きやすくペンの細さにもサイズがあり大変便利なペンである。鉛筆に比べクリアでシャープでありイラストレーターや建築家や画家がよく使っている。いまでは水彩・ペン彩スケッチ画を描く定番となっている。ただ、ペンのみでは色のないモノトーンのペン画となり広がりの表現が出来ない。従って屋外でスピーディに使用でき、ペンと相性がいい絵具は透明水彩であり、ペンの線+透明水彩で表現の巾が広がる水彩スケッチ・ペン彩スケッチ分野が可能となった。

風景スケッチでは対象物、特に建築物や船など、硬い構造物を描写するのには、柔らかい鉛筆よりも、やはりシャープなペンが適している。ペンの線はシャープで黒と白とのコントラストが強く、形がしっかり描け、しかも綺麗に見える。ただペンはシャープな反面、柔らかい表現のところは強すぎるので、そこは透明水彩の色彩で補ってゆく。ペンのシャープな線と、筆の柔らかい色とのコンビがトーン、コントラストなど幅広い表現が可能となる。これが水彩スケッチ/ペン彩スケッチ画であり、色+光+ペンの線の魅力である。

輝く水辺<子安運河>
オレンジの艇
<横浜ベイサイドマリーナ>

ペンの線・色・光を生かしたペン彩スケッチ画/F4。船やマストはシャープなペンの線で描き、水面や空は透明水彩で彩色。現場にてスピーディに描く。

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