(コラム67)

光とカゲC<影と陰・蔭> (五十嵐吉彦 2021年7月1日)

前回のコラム66で「昼下がりの光<鴨池公園>」@ABC作品の中でどの作品が好みかを水陽・青葉会関連の皆様に聞いてみた所、返事のあった方々の中で、好みは分かれたが、大体@40%、A10%、B25%、C25%であった。もちろん好みであるので、分かれて当然であるが前回コラム66に掲載した作品@が一番多かった。ご参考まで。

さて、拙著及びこのコラムでも、当初から「光と影」と書かないで、「光とカゲ」と書いている。
この理由を参考までに述べてみよう。カゲには「影」「陰」「蔭」の3つの漢字がある為、敢えて「カゲ」と書いている。「影」は太陽の光が降り注ぎ物体によって遮られて出来たのが「影」(shadow)である。一方「陰」「蔭」は物のかげであり、ものに覆われているところが「陰」「蔭」(shade)である。影の方は太陽による光で遮られた影なので誰でもわかるが、陰で光に関連するのは日陰、木陰、山の陰などである。光陰とかけば「光陰矢のごとし」で月日、時間の意味となる。陰影と書けば絵や医療でも使う。
*光の影と陰・蔭の違いは復習で講座の時にでもフォロー説明をしよう。

尚、「陰」と「蔭」は同じようだが木蔭、緑蔭などとも使われるので、木に覆われたカゲは草冠の「蔭」の字の方がマッチしていると思う。「蔭」は「お蔭様で」との言葉の如く助ける、かばうの意味が入っているのがいい。学校の名前に桐蔭、桜蔭、樟蔭、松蔭などあるがいずれも木の蔭だ。成長する生徒と言う木を助け、かばうことから「蔭」の字を使っているものと思う。
小生が水彩画家としてまた水彩スケッチ講師として、ここまで健康で生きがいをもって活動出来ているのも、小生をかげひなたで支えて頂いている皆様のお蔭と深く感謝している。
これからは暑い日中で描く事が多くなる。どうか出来るだけ日影、木蔭に座り、光とカゲを生かした風景スケッチを描こう。もちろん曇りの日には柔らかい陽射しを描こう。
緑の一隅〈等々力渓谷〉
緑の一隅〈等々力渓谷〉
この渓谷は東京都内とは思えないが木々に覆われ日中でも薄暗い。
その緑蔭 に覆われた所に右斜め上からの斜光で輝きが出た所をかなりのスピードで一気に描いた作品。
この作品は今月7/11〜17有楽町東京交通会館で開催する2021・Summer「水陽会」展に出品するので是非原画をご覧頂ければ有難い。

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