(コラム66)

光とカゲB<光の方向は大切>

(五十嵐吉彦 2021年6月1日)

 小生、晴れた日にはスケッチや講座に出かけ、屋外の光が降り注ぐ中で皆様と共に水彩スケッチを描いているのが楽しく、またそれが普通の生活であった。だが、コロナ禍の今を思えば、いつも自由に、どこにでもスケッチに出かけていた事が、如何に有難い事であったかとつくづく思う。ワクチン接種も始まり、安全対策を充分とれば、少しずつ元の生活に戻れるのではと切に願っている。この時期は近くの同じ場所でも、日を変え、時間を変えて何枚も描き研鑽を重ねるのもよい。光が変化し、緑が輝き、鳥の声も聞こえる環境の中で描いていると、同じ場所でもスケッチに集中する事で、ささやか乍らも至福の時である。

 さて、光とカゲのある風景を描く場合は、先ず描く前に光の状況を見て、「光の方向」を決めることも大切だろう。ペン彩・水彩スケッチ画を描く場合、@構図、Aペンスケッチ、B彩色、C光とカゲ等すべてを駆使して1枚の作品が出来上がり、@ABCの要素それぞれが無視できない。その中の光とカゲであり、光の方向が大切だ。光の方向には順光、斜光、逆光があるが、順光で全面に光が当たり美しいが立体感に乏しい。立体感や臨場感を出すにはやはり斜光か、やや逆光がいいと思う。

 そして描き始める時、何を主役に描くか、また光とカゲと、その光の方向をどうするかを決めることは大変大切である。光の方向によってトーンバランスも変わるからだ。 現場では光の状況を見て、光がどちらに動くか考え、今の方向の光がよいか、彩色を始める頃の光がよいかも考えたい。描き始めの光の方向とする場合は、光の傾向をしっかり頭に記憶しておこう。
朝の光、午後の光、夕刻の光など時間帯で雰囲気を変え描くのも良い。

 人生、晴れて順光の時もあれば、逆光の時もある。雨で太陽が出ない日もあるが、必ず太陽は出て輝く。“The sun is shining over dark cloud.”との言葉もある。もう少し頑張ろう。

昼下がりの光<鴨池公園>@
5月中旬に近くの新緑に囲まれた鴨池公園に4回行き、同じ場所でスケッチブック用紙の種類を変え、今回はログハウスを脇役として4枚描いた。その内の1枚が左の作品@で、このHPトップページ作品ABもその時に描いた作品。
尚、Aは左作品と全く同じ様でも少し異なる。

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