(コラム58)

色の雑談<寒色と暖色> A緑(green)

(五十嵐吉彦 2020年11月1日)

 前回のコラム57では寒色系の「青」について述べた。今回は「緑(green)」について述べよう。緑は人間にとってなくてはならい樹木の自然色であり、我々は大いに恩恵を受けている。緑(green)の色には爽やか、環境、などのイメージがある、また緑は樹の成長を意味し、新緑等は新鮮なイメージがある。小生の作品にはグリーンが多い。それは屋外風景スケッチには緑の樹々がつきものだからだ。常緑樹は別として落葉樹は春は新緑、夏は青葉、秋には黄色から茶色になり、やがて散り土に積もる。その四季と共に変わる緑色の変化が素晴らしく、その樹々を描く時が心地よい。
 絵具の緑色(green)を出すのは青色と黄色を混ぜれば出せるが、種々の緑を瞬時に混色で同じ色を出すのは慣れが必要であり、混色された固有色絵具の緑を使う方が便利で早く描ける。一般的に緑色の表現として黄緑、緑、青緑、濃緑などだが、透明水彩絵具の固有色ではライトグリーン、サップグリーン、フ―カスグリーン、ビリジャン等であり。小生はこれらのグリーンに更にイエロー系、ブルー系、ブラウン系と混色し、水の含み具合で豊富な グリーンを出して描いている。実際に樹の緑の種類は豊富で広がりがある。

 尚、小生は昔から緑(green)に縁がある。現在住んでいる所は緑区の通称みどり台であり、近くの地下鉄はグリーンライン、JR横浜線の色もグリーンだ。元勤務先のカンパニーカラーもグリーンであり、緑のフイルム箱に囲まれ、若かりし頃の宣伝部時代にはコーポレート・アイデンティティ(CI)マニュアルを作る仕事もしたので緑の識別には敏感となった。そして現在、小生主宰の水彩スケッチ会の名称も水陽・青葉会/緑会/緑樹会であり、樹の成長をイメージしている。この様に過去から現在まで緑に囲まれた生活主体である。
 ただ、男の背広や服装には緑色が少ない。これは渋いオリーブグリーン系は兵隊をイメージし、彩度の高いグリーンは派手だからだろう。車でも緑色は人気がない。渋いオリーブグリーン色の車はあるが少ない。彩度の高いグリーン色で動く車は派手で芋虫を連想させるからであろうか? 緑の表現に「緑の黒髪」というのがある。何故黒髪が緑なのだろうと思うが、どうやらつやつやした美しい黒髪の事らしい。さあ水彩風景スケッチでは大いに緑を描き分けよう。そして緑のある作品を部屋に飾ろう。健康と心の安らぎの為にも。


軽井沢*左の作品:光に輝く軽井沢の緑を渓流の端に座って描いた。
サイズF4

*今月のトップページ作品の3点はグリーン系作品を選んで掲載した。


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