(コラム56)

スケッチは色彩、スケッチは心豊かな人生

(五十嵐吉彦 2020年9月7日)

前のコラム55ではスケッチは線であり、線の魅力がペン彩画だと述べた。しかしながら「ペン彩画」はペンの線に加えて、透明水彩で彩色をすることにより魅力的な「ペン彩画」が完成する。
この「ペン彩画」はペンによる強弱やスピード感に加え、水を媒介としての透明水彩の発色、混色の色彩を加えて新しい魅力を創り出す。透明水彩による彩色は絵具に水を含ませ、その水の含み具合と絵具分量の混ぜ合わせで無限に近い色が出せるので、巾広い豊富な色彩表現を駆使して、スピーディに描いていく。これこそがペン彩画の醍醐味であろう。

色は赤、黄、緑、青等の色合い(色相)、明るい色〜暗い色(明度)、鮮やかな色〜くすんだ色(彩度)からなり、大変に奥が深い。この奥が深い色彩表現を、現場で瞬時に混色で出すのは難しいが、描き続け、体験を重ねていけば段々と豊かな色の巾が出せる様になってくる。

人生にも色々の場面があり、局面がある。特に中高年にとって、健康に留意しながら、今後どう対応して、心豊かに過してゆくかが課題だ。今はコロナ禍の状況下であるが、安全に留意し、人生の一コマで記録に残るスケッチを描こうとプラスに考えれば、近くでも、どこでも、描く場所には光あり、形あり、そして色彩があり集中して楽しく描ける。やはりスケッチをする事で、脳に刺激を与え、活力が出て、心豊かで生きがいある人生が過ごせると思う。


清里・清泉寮のある風景左の作品は「清里・清泉寮のある風景」。
昨年秋のスケッチ旅行で参加された皆様と一緒に描いた作品。
現地に清里開拓の父と呼ばれる「ポール・ラッシュ」の言葉があった。
“Do your best, and it must be first class.“ 
「最善をつくせ、そして一流であれ!」
この言葉は聖路加病院創設者のトイスラー博士から伝授されたとのこと。


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