( コ ラ ム 12)

黄葉の色変化に改めて感動

五十嵐吉彦(2008・12・7)

 本年も12月に入りあと1ヶ月となった。11月中旬〜12月上旬は樹木が黄葉・紅葉に変わり、その色合いが美しく、絵になる。屋外で描く風景スケッチは四季折々に変化があり1年間を通じて描けるのが楽しい。特に春の新緑と秋の紅葉の時期に描くのは自然の変化に感動し、その感動風景を描いているときがすばらしく、至福の時であると思う。
小生は冬の寒さが終わって桜が咲き、気分が高楊してゆく春の季節と、銀杏が黄色に変わり、それがやがて風で舞散る中で描く秋の季節もまた好きだ。本年の秋は山に行かなくても都内の公園の樹木の色変化に今までになく感動した年であった。
 この秋の紅葉の季節はいちょうの黄葉が美しいので、毎回違った場所でスケッチしている。例えば、いちょうの黄葉は東京では東京駅の丸の内側から皇居に向う行幸通り、神宮外苑、田園調布、昭和記念公園などがきれいであり、横浜では横浜開港資料館の前、山下公園や神奈川県庁前のいちょう並木がきれいでスケッチの対象となって、いつも11月は大勢のスケッチ愛好者で賑わっている。

 しかし、本年の秋は東京の代々木公園での紅葉スケッチの回数を増やした。このため小生は3日おきぐらいに代々木公園に5回訪れてスケッチをした。そして訪れる毎に風景の印象ががらりと変わり自然の急速な変化に改めて感動し、その感動を描いた。
 樹木が色ずき始めたときの風景、光に輝いた時の透明感ある紅葉の風景、曇りの日で寒くて震えながら見た紅葉の風景、茶色に変わった樹木の風景、風で散る葉の中での樹木の風景、それらの風景が順光、斜光、逆光と太陽光により様々な変化を見せてくれる輝きの樹木が素晴らしかった。この感動はやはり水彩スケッチを描いて、その観察力がアップし、同時に感動力もアップしてくる為であると思う。
 今回、拙著の第4巻目を出版した。入門編であるが作例を多く掲載している。この4巻目の拙著を含め、今までの拙著の中に掲載された黄葉の風景は下記の通りであり、建物風景の作例に比べて少ないが、いずれも黄色の美しさに感動して描いた作品である。参考までに掲載されているページは下記の通りであるので紹介しておこう。ちなみに「いちょう」は耐寒性、耐火性に強く公園樹、街路樹に多く使われており、花言葉は「長寿」である。
  ・第1巻「水彩風景スケッチ<光とカゲのテクニック>」: 東京丸の内側風景 P53 
  ・第2巻「輝きの水彩スケッチ<建物・樹木編>」:東京神宮外苑風景 P53、
      東京丸の内風景 P55、横浜開港資料館周辺風景 P10、P81、
      横浜神奈川県庁前風景 P54、横浜山下公園風景 P54
  ・第3巻 「輝きの水彩スケッチ<水辺風景編>」: 東京 代々木公園 P52
  ・第4巻 「いちばんわかりやすい水彩スケッチ入門」
      横浜・神奈川県庁前風景 P36、 東京昭和記念公園風景 P113
 来年の秋も自然の色変化に感動し、その輝く黄葉を描いてほしいと思う。

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