( コ ラ ム 3 )=続き
何故「光とカゲ」か? (2)
五十嵐 吉彦 2006.8.10
- 光のカラーを、絵具のカラーで再現するには?
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光のカラーを絵具で色再現するのは難しいと、先月の何故「光とカゲ」か?(1)で述べた。これは光の加色法と、絵具の減色法では方式が異なるので、同じ色再現は無理であるが、人間の眼に限りなく近い色彩に見せて色再現することは可能である。現実に減色法での美しい色再現は、高度な写真技術によるプリント再現、また高級印刷での美術書の色再現は、一般的に再現する対象物を精度の高いカメラなどで忠実に再現し、それを精度のよい印刷機械とよい紙で高級技術を駆使して再現している。
これに対し絵の色再現は自然の対象物に限りなく忠実、いや限りなく同じに見える色合いを駆使して描くことは可能である。ただ、絵画で絵具のもつ原色だけでは必ずしも忠実な色再現ではなく魅力ある色再現とはならない。(原色が多く、深みのない色彩は色そのものは綺麗と感じるだろうが、色の巾がなく魅力ある絵とは感じない。よく言われる、看板の絵とか、お風呂やの絵とか、いわゆる売り絵と云われる絵はこの種の絵だ)。
やはり、絵具の混色や重色を駆使して人間の眼で見て美しく感じる、また爽やかさや、光を感じ、感動を与える豊富な色が再現できていれば、魅力ある絵となると思う。
小生は今水彩スケッチの分野、即ち対象物を鉛筆やペンを使用してスケッチし、その線を生かして透明水彩絵具で彩色する具象の水彩スケッチ画の分野に絞って光とカラーの色再現について述べてみよう。風景スケッチ画を透明水彩絵具で如何に自然に近い色再現にするかは、12色〜24色の絵具の色数+混色+重色などを駆使しての豊富な色彩を出し、その彩色された絵を昼頃の太陽光の反射光で見た場合である。(どの様な光源で絵を見るかによって色彩が変わってくる)
その場合、全部の絵具を駆使して描いた絵は人間の見た眼にはかなり自然に近い彩色には出来るが、光の透過感、爽やか感など、光の輝き感をだし、よい絵又は感動する絵とするには色の世界の「色相」、「明度」、「彩度」の3つの要素の組み合わせを自分で出すテクニックが必要となってくる。
「色相」とは絵具固有の色、即ち赤、橙、黄、緑、青、藍・・・等、12色・24色等の絵具の持つ固有の色の事であり、この色相だけでも風景の色を再現することは可能であるが、「明度」即ち明るさの度合い、「彩度」即ちあざやかさの度合い、等巾広い表現が十分出てこない。やはり、透明水彩での色彩の表現は、絵具の固有色を混ぜ、水の含み具合を変え、新しい色を豊富に作成する混色と、更には、紙の白地を生かし、光とカゲを生かして、輝きの水彩スケッチを表現するテクニックが必要となってくるのである。
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