( コ ラ ム 38 ) (コラム37)より続く

風景スケッチは描く程楽しい(2)

<現場で描く醍醐味をもっと経験しよう>

五十嵐 吉彦(2016.9.1)

 風景スケッチを現場で描く場合、その対象に向かった時、どこを切り取るか、どのような構図にするか少し歩き回って探す、そして瞬時に構図を決める。これが第1の楽しみ。構図を決める時、どのような仕上がりにするか主役も決め、どのように仕上げるかも考える。この時が心がときめく。それだけ、このF4サイズのスケッチブックと言えども、現場で描き、現場で2時間程度で仕上げる難しさがあるが、表現に奥の深さがあるARTである。適度な興奮が伴い、心が入った1枚となる。

 現場で描くと言うことは、広く、大きい立体的な3次元の風景を、スケッチブックの 平面な2次元の世界に置き直して、平面の上に立体的に見える表現、光の輝きを、自分の手で表現することである。この行為は写真ではシャッターを押すだけで簡単にできるが、水彩スケッチはそう簡単ではなく、難しい。難しいからこそ、知的趣味と言われ、描き続けなくてはいけない。ただ、この現場で描いている時こそ、スケッチに没頭し、夢中になり、何もかも忘れ、至福の時だ。
その結果、自分で満足いく作品が出来た時はもちろん、満足出来なかった作品となったとしても、スケッチしている時が、もっとも楽しい。

 長く描いている方々でもよく、行き詰ったとか、成長がとまったとか、スランプに陥ったとか言われる。それでスケッチを止めてはいけない。それはご自身の描く努力、また描く気力が足らないからだと思う。描き続けるのである。自分で思考錯誤して描き、努力の継続をするのである。そうすれば、悩んだが、描いている時間が楽しかったと後で思う。そしていままでになく、何か感動するいい作品が出来てきてSTEP UPする。その積み重ねを続けると、ふと、自分の作品が成長していると感じる様になる。

 いま、小生は現場でスピーディに作品を描き上げるのが楽しい。いや長年描き続けてきたが、F4スケッチに絞り込むと、その世界でまた新たな発見と感動が生まれてくる。
F4で現場で描く醍醐味を味わい、F4で描いている事に自信をもち、水彩スケッチと人生を楽しもう。そして生きがい感を持とう。

   以上    

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