( コ ラ ム 30 )

「水彩スケッチにはSpeedが大切

五十嵐 吉彦(2013.3.18)

このコラムを暫くお休みしたが、また再開しよう。
小生の水彩スケッチ画の基本の1つは描くスピード(Speed)である。このコラムにも書いているが、「Simple and Speedy、and Good Quality」が小生が描く水彩スケッチ画の大きな柱のコンセプトの1つとなっている。現場でその臨場感、感動を捉えて、現場でスピーディに仕上げる。即ちすぐに結果をその場で出せるのが好きだ。

小生の教室、講座は2時間が単位である。2時間以内に現場で描き、その後現場で講評会をする。2時間でF4サイズの水彩スケッチ画を完成させるには、すばやく構図を決め、鉛筆又はペンで対象をスケッチし、そして透明水彩絵具で彩色して仕上げねばならない。当然ながらアトリエや室内でじっくり描く透明水彩画と、現場で仕上げる水彩スケッチ画とはスピード感が異なる。初心者の皆さんにとって最初2時間以内に描く事は難しく感じるが、現場で描くことを積み重ねてゆけば段々と観察力が出来てきてスピードが身につき2時間以内で描ける様になってくる。

水彩画、特に透明水彩絵具を使用する分野で大きく区分して、「水彩スケッチ画」の分野と 所謂伝統的な「透明水彩画」の分野がある。
水彩スケッチ画/ペン彩スケッチ画は現場完成が前提の為、描くスピードが必要で、その為彩色の場合の乾きも早い方がいい。
これに対し透明水彩画は水たっぷりで描いて透明水彩絵具の特長を出すが、水の含みが多いので現場では乾きが遅くなる場合が多い。この乾きが遅くなるため、仕上げまで時間がかかり、あまり屋外向きとは言えない。ただ、じっくり時間をかけてつくる作品も、スピーディに仕上げた作品も、両方に価値がある。
小生は現場で完成させるF4サイズ主体の水彩スケッチがおすすめだ。

スケッチ分野でF4サイズ基準をすすめる主たる理由はこの現場でのスピード仕上げが出来る点と、その携帯性にある。時間には限りがある。それだけに時間には価値がある。限りある人生、限られた人生に1枚でも多く描いて、楽しみたい。
もちろん、時間をたっぷりかけて1枚を仕上げてゆく大きな作品創造もよいが、小生は F4サイズ作品をスピーディに多く描く作品創造の方が、四季折々の自然や、色々な場所での歴史建物など多く観察でき、多く経験が積めて楽しいと思う。

水彩スケッチには描くスピードが大切だ。

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