( コ ラ ム 25 )
旅とスケッチ 2011
五十嵐 吉彦(2011年9月7日)
旅に出てスケッチするのは楽しい。この事は、前にこのコラムでも述べているので重複する所もあるが、本年のトップページ掲載作品に関連し、再度述べておこう。
小生の場合、日常の講座でのスケッチ場所は東京、横浜、及びその近郊が主体であるが、年に数回は日本の地方、及び海外に足を伸ばしている。雨や寒いとき以外は、外で風景を描くのが主であり「旅とスケッチ」がメインテーマと言える。その為、小生の作品は殆ど現場でスピーディに描き、しかも完成させている。小生のモットーの“Simple and Speedy、and Good Quality”が基本である。小生の言うスピーディとは、油絵や大型サイズ水彩のじっくり時間をかけて描く作品に対してであり、水彩スケッチは2時間程度のスピードで描き仕上げる。この為、小生講座では、簡便なF4サイズのスケッチブックで2時間以内に彩色まで仕上げるのを講座での目標としている。もちろん対象物によるが、小生自身の場合は早い場合は30分、通常は1時間前後で仕上げている。
現場で描くよさは、先ず、そこの歴史風景、建物や水辺、自然など、目の前の現場を実際に描いたという感動があり、それに現場の光、空気感、季節感、臨場感、また風を肌で感じて描けるところにある。もちろん、現場で描いている時は、何もかも忘れてスケッチに没頭しており、それが作品の出来如何に拘わらず最高である。この事が健康にもよいと小生は思っている。尚、写真は現場の記録や光の状態の確認などにはよいが、水彩スケッチの場合はあくまでも現地で描き、現場で描いているその時を楽しむ事が大切であり、写真から描くのはあくまでも補助手段としての利用に留め、写真に頼ってはいけない。
本年の海外スケッチは4・5月はアフリカ・ヨーロッパ、6月はオーストリアであった。このホームページ(2011・9)のトップに現在出ている作品は、オーストリアの現地で描いた作品の中から抜粋しているが、今回はウイーンで描いた作品の中から5点を掲載した。この時はウイーン、ザルツブルグ、インスブルックなどで2日間ずつ滞在したのでウイーン以外で描いた作品も多くある。これらの作品は、これからこのホームページ及び画会展、グループ展、個展などに適時出品して行く予定である。
本年4月〜5月は豪華客船「飛鳥U」に水彩講師として乗り、アフリカ・ケープタウンからオランダ・アムステルダムまでの間、船内で「欧州世界遺産スケッチ紀行」の講演とスケッチ講座をし、水彩スケッチの楽しさを指導しながら、寄港地のリスボン(ポルトガル)とルーアン(フランス)、またドーバー(イギリス)を主として描いた。地球の暑い所から寒い所までの温度変化を体感しながら、地球の丸さ、人類の多様さ、それに現場での空気感、臨場感を実感し、それらをスケッチに凝縮してきた。
旅とスケッチは実に楽しい。そして飽きることがない。
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