( コ ラ ム 22 )

 旅とスケッチは楽しい

五十嵐 吉彦(2010.6.1)

 水彩画で描く具象のテーマは自然風景、歴史建物、花、静物、人物など色々ある。
その水彩画の中でも水彩スケッチ画はスケッチの線と透明水彩の爽やかさを生かして、 スピーディに描く新しい分野であることは、このコラムで再三述べてきた。
この水彩スケッチの中でもメインはやはり屋外で描く風景スケッチであろう。

 私のこのホームページのトップページに文章で書いている如く、屋外に出かけて行き、 心引かれる風景の中に身を置いて、光や風を感じながら、その感動を短時間で描き上げる過程は、心身ともにリフレッシュでき大変楽しいものである。 特に旅に出かけ、新しい場所で新しい風景を見た時の感動は素晴らしい。その感動を水彩スケッチで描いている時は、何もかも忘れ、時間も忘れ、至福の時であると思う。 その時に描いた作品は世界で1枚しかない貴重な作品であり、後でその作品を眺めるとその描いた時の情景が明瞭に蘇ってくる。

 私はこの10年間に描いてきたテーマはやはり風景スケッチが圧倒的に多い。 4月〜11月の季節がよい時は風景スケッチ、旅のスケッチが主体であり、雨の時は花など静物を描くが、やはりウエイトは屋外の風景が多く、その比率は風景画:静物画他が 7:3 程度であろうか。 私の風景スケッチのテーマは現在、海外では世界遺産や歴史風景、国内では横浜・神戸・長崎等の開港港街にある西洋建築や港街シリーズなどである。もちろん京都・奈良・鎌倉などの日本の建築、文化遺産を描くのも楽しい。海外、特にヨーロッパの歴史遺産風景を描く場合は、その歴史背景を知った上で歴史遺産建築などをスケッチしていると過去の出来事が想像できて数倍スケッチが楽しくなる。また水辺の港や川、運河、また船もテーマの一つだ。

 本年の私と同行のスケッチ旅行は、6月末スペインスケッチ旅行、8月末の門司港スケッチ旅行、また11月中旬はNHK文化センター主催国際交流祭の一環としてポーランド世界遺産ワルシャワ・クラクフ・スケッチ旅行を予定している。この国際交流祭の一環としてのスケッチ旅行は、現地の歴史遺産を見学した上でスケッチをして、その描いた作品を帰国後、各自のグループ展で発表展示する。このことは現地の文化遺産を知り、その歴史文化遺産をスケッチする事で、現地との交流を図り、描いたスケッチ画を通じて、ささやかながらも国際交流の役割を果たしていると私は思っている。 旅とスケッチは思わぬ出会いもあり楽しいものである。

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