( コ ラ ム 5 )

基本コンセプトは“Simple and Speedy”(S&S)

五十嵐吉彦 2007.5.25

 私が主として携わる画像(写真及び絵画)の基本コンセプトともドメインとも云えるのは“Simple and Speedy”(S&S)の分野である。もう少し言えば簡便ながらも画質がよいもの。従って“Simple and Speedy 、but Good Quality”とも言える。小生が昔携わった写真画像の分野ではインスタント写真や、写真画質カラーコピーの分野で通常の写真より遥かにスピードが速く、しかも高画質なものであった。現在の絵画の分野では日本画や油絵較べて、簡便で早く芸術性もある分野は「淡彩&水彩スケッチ」の分野、即ち“Simple and Speedy、but Good Quality”の分野を手がけている。Time is Money、限られた人生、時間を有効に使用する。鉄道でも飛行機でも早くなればなる程、時間が節約でき有効に使える、従って料金も高い。もちろん時間をゆっくりかけて質の高い、或いは大きな作品を作る分野もあり、Speedを尊ぶ世界もある。 両分野共に価値があり過去、現在とも共存している。
 写真の世界で言えば昔大型の重厚大のカメラで遅い仕上がりであった写真が、軽薄小でスピード仕上がりの商品化に成功するにつれて写真も広くアマチュアユーザーに広がり、写真を気軽に楽しめ、家庭記録や旅の記録や画像文化も普及した。具体的には2眼レフカメラ→1眼レフカメラ→コンパクトカメラ→レンズ付フイルム(通称「写るんです」)→デジタルカメラである。通常写真(銀塩方式と呼ぶ)から今日のデジタル写真への変化は正に写真革命でありその変化のスピードは予想以上である。まさに大重厚遅→小軽薄早への進化であり“Simple and Speedy”となった。
 絵画の世界はどうであろうか。昔からの伝統的な大きな作品は油絵、日本画では健在である。水彩画も水彩連盟や日本水彩画会の世界は大きい作品だ。いわゆる大重厚遅の世界であり構図から彩色にもじっくり時間をかけ大作をつくる。これらの作品は鑑賞はだれでも出来るが、制作は誰でも気軽に出来るというものでもない。絵の世界は手造りの世界であり、上記写真や映像の世界の如く急速な変化は起こりにくいが、もっと気軽に絵を描きたい方々も多いはずである。この絵の世界での小軽薄早の分野が小生提唱の淡彩&水彩スケッチの分野だ。この水彩スケッチ画は屋外でも描ける様、携帯に便利なF4サイズスケッチブックを標準として、誰でも描きやすく爽やかな透明水彩絵具を使用し、1〜3時間程度のスピーディで仕上乍らも奥が深くて、且つ質も高い。まさに“Simple and Speedy、but Good Quality”の分野である。この小軽薄早の水彩スケッチ分野を一つの絵の分野として、人生に於ける楽しみを増やし、水彩スケッチを通じて、生涯健康で感動人生を過ごす生き方もよいのではないだろうか。私も昔は大重厚遅の水彩画の世界も経験したが、約30年前からこの小軽薄早である水彩スケッチ分野のS&S(Simple&Speedy)を基本コンセプトにして継続してきた。尚、水彩スケッチもS&S、小生主宰の水彩スケッチ「水陽会」(Sketch Suiyo)もS&S。小生の描く水彩スケッチの特徴は光と影(Sun&Shadow)であり、これもS&Sである。

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